CEマークとは

CEマークとは、まず何でしょうか?

CEマークとはEU加盟国(欧州連合)の法律に輸出を検討している製品が適合したことを証明するマークです。CEマークの貼付が義務付けられているにも関わらずCEマークなしで製品を上市・流通させることは認められていません。
※CEマーキングすると法律違反となり罰せられるケースも多々ありますので、必ずコンサルティング又は専門家に確認とるようにしてください。(製品が該当するか、輸出先が該当するか等)

CEマークの欧州指令・規格はどのくらいあるのでしょうか?

CEマークの指令・規則は全部で26種類あります。
更に、機械指令(MD)・低電圧指令(LVD)・電磁両立性指令(EMC)など沢山の指令がありますが、1つの製品に1つの指令を対応させるのではなく、製品によっては複数の指令に対応しなければなりません。

指令番号
指令名
指令名(英語)
2014/35/EU
低電圧指令(LVD)
Low voltage Directive
2006/42/EC
機械指令(MD)
Machinery Directive
2014/30/EU
電磁両立性指令(EMC指令)
Electromagnetic compatibility Directive
2014/34/EU
防爆指令(A-TEX指令)
Equipment for explosive atmospheres Directive
2014/68/EU
圧力機器指令(PED)
Pressure equipment Directive
(EU)2017/745
医療機器規則(MDR)
Medical Device Regulation
(EU)2017/746
2017年5月25日発効
2022年5月28日以降完全移行
体外診断用医療機器規則(IVDR)
In Vitro Diagnostic Regulation
2014/29/EU
簡易(単純)圧力容器指令(SPVD)
Simple Pressure Vessel Directive
(EU)2016/426
ガス機器規則(GAD)
Gas appliances Regulation
2009/48/EC
玩具指令(TOY)
Toy safety Directive
(EU)2016/425
個人用保護具規則(PPE)
Personal protective equipment Regulation
92/42/EEC
温水ボイラー指令
Hot-water boilers Directive
2014/28/EU
民生用起爆装置指令
Explosives for civil use Directive
2013/53/EU
レジャー用船舶指令
Recreational craft Directive
2014/33/EU
昇降機(リフト)指令
Lifts Directive
2014/53/EU
無線機器指令(RE)
Radio equipment Directive
(EU)2016/424
人員用ケーブル輸送設備規則
Cableway installations designed to carrypersons Regulation
2014/32/EU
計量器指令(MID)
Measuring Instruments Directive
2013/29/EU
花火・起爆装置指令
Pyrotechnics Directive
2014/31/EU
非自動計量器指令(NAWI)
Non-automatic weighing instruments Directive
2000/14/EC
屋外機器の騒音指令
Noise emission in the environment Directive
2009/125/EC
ErPエコデザイン指令(ErP)
Eco-design of energy related products Directive
(EU) No 305/2011
建築資材規則(CPR)
Construction Products Regulation
2011/65/EU
特定有害物質使用制限(RoHS)
Restriction of Hazardous Substances inElectrical and Electronic Equipment Directive

「市場監査システム」と「RAPEX」の存在

EU加盟国内には管轄当局が市場監査システムを構築しており、違反している製品に対して制裁をおこなっています。 また、市場監査で摘発された製品は、RAPEX(EU緊急警告システム)から情報発信され、ワールドワイドからアクセス(閲覧)される状態となります。なお、RAPEX(EU緊急警告システム)に掲載された情報は削除することができず、永続的に違反した内容が掲載され続けます。 更に違反が発覚した製品には、販売停止・リコール・違反金・禁固刑などの責任が問われますので十分にご注意ください。

最後にCEマークをつける目的

CEマークをつける目的は3つです。

  1. 企業に同じルールを課し公平な競争を促すこと。
  2. 消費者または製品の使用者が健康安全環境に関する保護を享受できるようにすること。
  3. 欧州経済地域(EEA)加盟国において製品を自由に流通販売すること。

認証が必要とされる地域

CEマーキングが必要となる国・地域は、EU(欧州連合)加盟国27ヵ国に加え、欧州経済地域(EEA)を構成するEU(欧州連合)27ヵ国以外のアイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタインとEU加盟候補国であるトルコの計31ヵ国が対象です。EFTAの加盟国で唯一、スイスだけは、個別の相互認証協定(MRAs/Mutual recongition agreements)で相互に安全・品質基準を承認しています。*EU加盟候補国であるトルコはEU(欧州連合)と協調関係にあり、CEマーキング等のEUの法規制に準拠した法律の整備を進めています。

CEマーキングが必要となる国

アイルランド、イタリア、イギリス、エストニア、オーストリア、オランダ、キプロス、ギリシャ、クロアチア、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ハンガリー、フィンランド、フランス、ブルガリア、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、ルクセンブルク、アイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタイン、スイス、トルコ

CEマーキングが世界の潮流となる理由

近年、EU(欧州連合)加盟国に限らず、アジアや中東への輸出に対してもCEマーキングを条件とする国や企業が増えています。日本企業の海外進出において、CEマーキングが事実上の必須条件になりつつあります。その背景として、ISOやIECなど国際規格が欧州(欧州連合)主導となる世界的な動きがあります。

認証が必要とされる製品

CEマークの認証が必要とされる製品

ニューアプローチ指令によってCEマークの貼付が定められている場合、製品を流通・販売する前にCEマークを貼付することが義務づけられています。製造事業者は必ず、流通・販売しようとする製品がニューアプローチ指令に該当しているかどうか事前に調べる必要があります。

製造者の法的義務とは?

製造者の法的義務とは?

欧州の法律において、製造者はどのように定義されているでしょうか?

EU(欧州連合)加盟国の市場で製品を流通・販売する場合、製造者は製品の「設計」 「製造」 「適合評価」に関する情報を把握し、常に責任をもって法律で求められるそして自社のブランド名で製品を市場、または利用可能にすることに責任を持つ者を示します。つまり、製造者は法律で要求される設計、製造、そして適合性評価手続きに関する情報を持っていなければならないのです。

では、製造者はEU市場に製品を流通させるために、何をしなければならないのでしょうか? 多くの製品は、CEマーキングをしなければなりません。

CEマーキングは、製品が適用を受けるすべてのEU整合法令(法律)に適合するための評価手続きを行った結果、製品をEU市場に上市する、または製品が使用される前に製品に貼付しなければならないものです。 そのためには、製造者は製品が適用を受けるすべての指令の必須要求事項を満たすための評価を事前に行った上で、製品にCEマーキングを貼付する必要があります。

そして、そのCEマーキングの根拠となるドキュメントとして「テクニカルファイル(技術文書)」 と「EC適合宣言書」 を作成しなければならないのです。

例えるなら、昔、数学の授業やった証明問題のように、製造者は、EUの法律に自社の製品が適合していることを自ら評価・確認をして、証明する必要があるのです。

その証明した結果として、カタチになるものが、

  1. :CEマーキング
  2. :EC適合宣言書
  3. :テクニカルファイル(技術文書)

の3つになります。

この中でも、テクニカルファイル(技術文書)は、最終的にEU整合法令(法律)への適合を立証するための重要文書になります。

テクニカルファイル(技術文書)には必ず、リスクアセスメント結果、適用を受ける指令の必須要求事項をどのように満たしたのかを含めなければなりません。

私たちは数多くのテクニカルファイル(技術文書)の作成をお手伝いさせていただいてきましたが、テクニカルファイル(技術文書)作成で難しいことは、単なるチェックリストではなく、法律に適合していることを筋道立てて証明することにあります。

つまり、10社あれば10通りの証明方法があり、100製品あれば、100通りの証明方法があるのです。

この部分こそが、CEマーキングすることの鍵であり、面白いところになります。なぜなら、私たちはCEマーキングに関しては専門的な知識と経験持っていますが、その対象となる製品に関しては素人だからです。

製品の専門家は製造者です。

CEマーキングの仕事は、製品のプロである製造者とCEマーキングのプロとの共同作業により、一つの証明問題を解いていく仕事と言い換えることができます。

そして、EEA(欧州経済地域)加盟ヶ国及びトルコの国家の規制当局が製品を監査する際には、「テクニカルファイル(技術文書)」 と「EC適合宣言書」が、EU整合法令(法律(に基づいて製造者が正しく、適合性評価を行ったことを証明する唯一のドキュメントとなります、つまり、製造者を守るドキュメントとなるのです。

輸入/流通の法的義務とは?

輸入業者や流通業者に対しても課される義務とは?

欧州の法律では、製造者だけでなく「輸入業者」や「流通業者」に対しても義務が課されていることをあなたは知っていますか?

では、その義務とは何でしょうか?

「製造者」が製品を法律に適合させて、CEマーキングを貼付することが義務付けられているのに対して、その製品の「輸入業者」と「流通業者」は、製品が製造者が宣言するように、本当に法律に適合していて、CEマーキングが貼付されているのかを確かめる義務があります。

なぜ、そのような義務が課されているのでしょうか?

それは、製品の使用者や消費者の健康、安全、そして環境を守るためだけでなく、同一のルールに基づいて、市場関係者が「公平な競争」ができるようにするためです。

ルールがあるのに、それを破る企業が出てきてしまったら、市場は成り立たなくなってしまいますよね。

このような理由から欧州の法律では、製品の「輸入業者」や「流通業者」に対しては、彼らが取り扱う製品が適用を受ける指令の最低限の知識を持って「製品を規制する役割を担う国家当局」をサポートする役割を担うように義務付けているのです。

欧州の法律は「輸入業者」に対しては、万が一、国家規制当局から要請があった際に必要なドキュメントがすぐに提出できるように「製造業者」から「EU適合宣言書」や「テクニカルファイル(技術文書)」などの必要なドキュメントを手に入れることができるようにしなさいと言っています。つまり、「輸入業者」は常に製造者に対して常に、CEマーキングに対する問い合わせができる状態になっていなければなりません。

「流通業者」も「製造者」や「輸入業者」と同じく、自分たちが扱っている製品が市場や顧客に対して悪影響を与えていないかについて、相当な注意を払う義務があります。「流通業者」は自分たちが取り扱う製品が「テクニカルファイル(技術文書)」を伴うCEマーキングが必要なのかについて、基本的な知識を持つ必要があります。

なぜなら、「流通業者」も国家の規制当局に対して、「輸入業者」や「製造業者」が適切な義務を果たしていのかどうかについて、協力する義務があるからです。

これは実際の事例ですが、ある欧州の電気・電気部品をインターネットを介して販売している「流通業者」がCEマーキングに対応していないメーカーの製品を販売停止にするということがありました。

この背景には、国家の規制当局による規制の影響も少なからずあるのではないかと思います。

それから、もし、「輸入業者」や「流通業者」が、自らの名前で製品を市場に出す場合は製造者と同等の責任を負い、設計から製造、までCEマーキング貼付を含む法的な責任を果たさなければなりませんので、注意が必要です。

CEマーキングが始まってから20年以上が経ちましたが、「製造者」だけでなく「輸入業者」や「流通業者」に義務が課されるなど、より欧州市場全体の監査が厳しくなる方向にありますので、CEマーキングをする際は正しい情報に基づき、最新の注意を払って行うようにしましょう。

CEマーキングの6つのステップ

CEマーキングのための必要な手順

CEマーキングするためには、具体的に何をどのような手順で行う必要があるのでしょうか?

CEマーキングは自己流で行うものではありません。具体的な手順が定められています。 下記は、欧州委員会が定めるCEマーキングするための「6つのステップ」になります。

ステップ

製品をテストして、製品が「指令に適合しているかどうか」を確認する。

ステップ2

「製品固有の要求事項」を確認し、指令の「必須要求事項」を満たしていることを証明するために用いる 「整合規格」や「その他の技術的手段」を選択する。

ステップ3

EEA加盟国及びトルコの国家当局が通知する「Notified Body(通知機関)」による第三者評価の必要性を確認する。

ステップ4

製品をテストして、製品が「指令に適合しているかどうか」を確認する。

ステップ5

製品が適用を受けるすべての「指令」が要求するテクニカルファイル(技術文書)を作成し、それを利用できるようにする。

ステップ6

製品にCEマークを貼付し、EC適合宣言書を作成する。