【CE基礎特集】
前回は、多くの電気製品に関係する「低電圧指令」についてご紹介しました。
CEマーキング対応を進める中で、
「モーターが付いているから機械規則?」
「電気を使う製品だから低電圧指令?」
「両方確認しなければいけないの?」
と迷うことがあります。
実際には、機械と電気の両方の要素を持つ製品も多く、適用法令をどう考えるべきか悩むケースは少なくありません。
今回は、機械規則と低電圧指令の違いについて見ていきます。
低電圧指令の目的
低電圧指令の目的は、電気機器によって人、家畜、財産に危険が生じないようにすることです。
主なリスクとしては、感電、火災、過熱、絶縁不良、アーク、放射、機械的な危険などが挙げられます。
そのため、低電圧指令への対応では、通常の使用状態で安全かどうかだけでなく、予見できる使われ方をした場合にも大きな危険が生じないかを確認する必要があります。
また、取扱説明書や警告表示が適切かどうかも重要な確認ポイントです。
なぜ機械規則と低電圧指令で迷うのか
機械規則と低電圧指令は、どちらも製品安全に関するEU法令です。
また、現在の産業機器の多くは機械と電気の両方の要素を持っています。
そのため、「機械だから機械規則」「電気製品だから低電圧指令」と単純には判断できないことがあります。
まずは、それぞれの法令が何を目的としているのかを整理することが大切です。
機械規則とは
機械規則(Machinery Regulation)は、機械によって発生する危険から人を保護するためのEU法令です。
対象となるのは、機械や関連製品、安全部品などです。
主に、機械の動作によって発生する危険への対策が求められます。
機械規則は、機械的な危険への対応を中心に確認する法令と考えると分かりやすいでしょう。
機械規則では何を確認する?
機械規則で確認する代表的な危険には、以下のようなものがあります。
- 挟まれ
- 巻き込まれ
- 切創
- 衝突
- 飛散物による危険
そのため、安全カバーや非常停止機能、安全制御などが重要な確認ポイントになります。
低電圧指令とは
低電圧指令(Low Voltage Directive/LVD)は、電気機器の安全性を確保するためのEU法令です。
感電や火災などの電気的な危険から、人や財産を保護することを目的としています。
EU向けに電気製品を販売する場合、基本となる法令のひとつです。
低電圧指令は、電気的な危険への対応を中心に確認する法令です。
低電圧指令の対象電圧
低電圧指令の対象となるのは、原則として以下の電圧範囲で使用される電気機器です。
- 交流(AC):50~1,000V
- 直流(DC):75~1,500V
まずは定格電圧が対象範囲に入っているかを確認することが重要になります。
ただし、電圧条件だけで該当性が決まるわけではありません。
ポイントは危険の種類
機械規則と低電圧指令の違いを考えるときは、製品名よりも危険の種類を見ることが重要です。
例えば、電源装置であれば感電や発熱への対策が中心になります。
一方で、コンベアや搬送設備であれば、可動部による危険への対策が重要になります。
どの危険を評価する必要があるのかが、法令選定の判断ポイントになります。
どのような製品が機械規則の対象になる?
機械規則が関係する代表的な製品には、以下のようなものがあります。
- 工作機械
- 包装機械
- コンベア
- 搬送設備
- 産業用ロボット
- 自動組立設備
可動部による危険が存在する製品では、機械規則の確認が重要になります。
どのような製品が機械規則の対象になる?
低電圧指令の対象となる代表的な製品には、以下のようなものがあります。
- 家庭用電化製品
- AV機器
- 情報通信機器
- 事務機器
- 照明機器
- 電源ユニット
- 変圧器
- 制御機器
これらの製品では、電気安全をどのように確保するかが重要になります。
電気で動く機械はどう考える?
ここが最も分かりにくいポイントかもしれません。
現在の産業機械の多くは、モーターや制御盤によって電気で動作しています。
そのため、「電気を使うなら低電圧指令では?」と思われることがあります。
しかし、機械規則の対象となる機械では、電気的な危険も含めて機械全体の安全性を評価する考え方が採られています。
どちらとも判断しにくい製品もある
実務上は、どちらに該当するのか迷う製品もあります。
例えば、
- 電動アクチュエーター
- 自動開閉装置
- モーター駆動ユニット
- 電動昇降装置
などです。
見た目だけではなく、用途や構造、使用方法まで含めて判断することが重要です。
他のEU法令との関係にも注意
CEマーキング対応では、機械規則と低電圧指令だけを確認すればよいとは限りません。
製品によっては、
- EMC指令
- RoHS指令
- RE指令(無線機器指令)
なども関係してきます。
製品全体として、どのEU法令が関係するのかを整理することが大切です。
他のEU法令との関係にも注意
適用法令の整理が遅れると、試験や技術文書の見直しが必要になることがあります。
特に機械と電気の両方の要素を持つ製品では、後から法令対応の追加が必要になるケースもあります。
設計段階から適用法令を確認しておくことで、手戻りを減らしやすくなります。
開発初期から確認を進めることが重要です。
製品全体で考えることがポイント
ここまで、機械規則と低電圧指令の違いについて見てきました。
機械規則は機械的な危険への対応を中心とし、低電圧指令は電気的な危険への対応を中心としています。
しかし実際の製品では、その両方の要素を持つケースも少なくありません。
重要なのは、「機械規則なのか」「低電圧指令なのか」だけではなく、製品全体としてどのEU法令が関係するのかを整理することです。
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次回のコラムは、「EMC指令とは? CEマーキングで確認したい電磁両立性のポイント」を予定しております。