ヨーロッパ

Vol.6 機械規則とは(欧州編)

【CE基礎特集】


前回は、CEマーク対応で混同されやすい「法令(指令・規則)」と「規格」の関係について整理しました。
今回はその続きとして、機械製品に関係する新しいEU法令である「機械規則」について見ていきます。

機械規則は、機械製品の安全に関するEUのルール

EU向けに機械を上市する際に、まず押さえておきたいのが「機械規則」です。

機械規則を一言で表すと、EU市場に出される機械の安全を確保するためのルールです。

これは、これまで機械分野で用いられてきた「機械指令 2006/42/EC」に代わる新しいルールで、正式には「Regulation (EU) 2023/1230」といいます。本格的な適用は2027年1月20日からになります。

そして機械には、動く部分や電気、制御、安全装置など、さまざまな危険源があります。そのため、設計段階からリスクを整理し、必要な安全対策を講じたうえで、使用者に必要な情報を適切に伝えることが求められます。

たとえば、保護装置、非常停止、警告表示、使用説明書、保守時の安全への配慮などが関係します。

このように、機械規則は機械にCEマークを付けるうえで重要な法令のひとつであり、機械製品の安全性を確認するための重要なルールなのです。

機械指令から機械規則へ

これまで機械分野では、「機械指令 2006/42/EC」が長く使われてきました。今回の機械規則は、その機械指令に代わるものです。

ここでポイントになるのが、「指令」から「規則」へ変わるという点です。

前回のコラムで説明しましたが、指令は、EUが目標を示し各加盟国が国内法に置き換えて運用する仕組みのことで、規則はEU加盟国に直接適用されるルールになります。

そのため、規則のほうがEU全体で運用をそろえやすく、各国ごとの差も抑えやすいという特徴があります。機械分野でも、こうした背景から新しい枠組みへの移行が進められています。

ただし、機械規則になっても、リスクアセスメントを行い、安全対策を講じ、技術文書やEU適合宣言書を整えてCEマーキングにつなげるという基本的な流れは変わりません。

なぜ機械規則が必要になったのか

機械指令が作られた当時と比べると、機械の設計や仕様は大きく変わっています。

最近の機械は、モーターや機構で動くだけでなく、ソフトウェアで制御されたり、ネットワークにつながったり、センサーやAIを使って判断したりするものも増えています。

工場設備や産業機械でも、遠隔監視、データ連携、自動化、ロボット化が進んでいます。

こうした変化により、従来の「機械的な危険」だけでなく、制御システムの誤作動やソフトウェア変更による安全機能への影響なども考える必要が出てきました。
また、インターネット販売の広がりや、EU域外の事業者によるEU市場への供給が増えていることも踏まえ、市場監視や事業者の責任を整理する必要性も高まっています。

こうした技術や流通の変化に対応するために、機械規則という新しい枠組みが整えられたと考えると、全体像が見えやすくなります。

サイバーセキュリティやAIも新しい論点に

機械規則で特に注目されているのが、サイバーセキュリティやAIに関する論点です。

従来の機械安全では、挟まれ、巻き込まれ、感電、火傷、騒音など、比較的分かりやすい危険が中心に考えられてきました。

しかし、ネットワークにつながる機械や、ソフトウェアによって安全機能を制御する機械では、デジタル面のリスクも無視できません。外部からのアクセスやソフトウェア変更によって、安全機能が正しく働かなくなる可能性があるためです。

また、AIを使った機械では、機械がどのように判断し、安全をどう確保するかを整理することも重要になります。

今後は、機械規則だけでなく、サイバーレジリエンス法(CRA)やAI法など、周辺のEU法令との関係が論点になるケースも考えられます。特に、ソフトウェア、通信機能、遠隔操作、自動判断機能を持つ製品では、早めの確認が重要です。

機械規則で確認したい主なポイント

機械規則に対応するうえでまず確認したいのは、自社製品が対象になるかどうかです。

「機械」と聞くと大型設備をイメージしがちですが、機械本体だけでなく、関連する装置や安全部品、交換可能な装置などが関係する場合もあります。そのため、製品の構造や用途、動力、制御方法などを踏まえて、適用対象かどうかを整理することが大切です。

そのうえでリスクアセスメントを行い、必要な安全対策を検討します。あわせて、設計内容、適用規格、試験・評価結果、図面、使用説明書などの技術文書を整備し、EU適合宣言書(DoC)、CEマーキング、使用指示書の準備につなげていく必要があります。

大切なのは、自社製品でどう整理するか

ここまで、機械規則(Machinery Regulation)の概要と、機械指令(Machinery Directive)からの主な変更点について見てきました。

しかし、実際のCEマーク対応では製品ごとに確認すべき要件や対応内容が異なります。

そのため、自社製品が機械規則の対象となるのか、また機械指令から何を見直す必要があるのかを初期段階で整理しておくことが重要です。

当社「海外認証PRO」では、貴社製品の仕様や想定用途に応じて、機械規則を含むCEマーク関連法令や規格の初期整理からサポートしています。
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次回のコラムは、「機械規則の適用範囲の中でも、認証機関(Notified Body/NB)が必要になる製品」を予定しております。
ぜひご覧ください。

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