【CE基礎特集】
前回は、「CEマークのロゴ」をテーマに、表示そのものについて基本的な考え方を整理しました。
今回はそこから一歩進めて、CEマーク対応で必ず意識しておきたい「リスクアセスメント(Risk Assessment/RA)の考え方」について見ていきます。
まず知っておきたいリスクアセスメントの意味
リスクアセスメントという言葉を聞くと、「危ないところを洗い出す作業」というイメージを持たれることがあります。もちろんそれもありますが、CEマーク対応でいうリスクアセスメントは、もう少し広い意味を持っています。
それは、製品に関わるリスクを分析、評価し、そのリスクが許容できるかどうかを判断し、必要に応じて低減していくという一連の考え方です。
ここで大切なのは、リスクアセスメントが単なる書類作成ではないという点です。
その製品や機械がどのような使われ方されるのか、どのような誤使用が起こり得るのか、どの危険を優先して見るべきかを考えながら、設計や仕様に反映していく必要があります。
リスクアセスメントは機械だけの話ではない
リスクアセスメントというと、機械安全の話として受け取られることが多いのですが、CEマーク対応ではそれだけに限りません。
CEマークが必要な製品では、技術文書の中に、適切なリスクの分析と評価を含めることが求められます。さらに、特定したリスクにどう対応したのかも説明できる状態にしておく必要があります。
これは機械だけでなく、電気製品などの分野でも共通して意識しておきたい考え方です。
たとえば、機械では巻き込まれや挟まれなどの安全面が中心になりやすい一方で、電気製品では感電や発熱の観点が関係してきます。
見るべき内容は製品によって異なりますが、「どのようなリスクがあり、どの要求事項と関係するかを整理する」という基本は共通しています。
「危ないところ探し」だけでは終わらない
リスクアセスメントは、危険を見つけて終わるものではありません。
大切なのは、そのリスクが許容できる状態まで低減されているかを考えることです。
機械安全の考え方でも、危険源を特定し、リスクを見積り、評価し、必要な低減策を講じる流れが基本になります。
また、機械安全では、対策にも順番があります。
- 設計そのもので危険を減らすことを考える
- それでも残るリスクに対し対策を講じる
- 表示や取扱説明書などの情報で補う
こちらが基本の流れになります。
この順序を押さえておくと、「注意書きを増やせばよい」「説明書でカバーすればよい」という発想だけでは足りないことが分かります。
さらに、市場監視当局など第三者が見たときに、どのリスクをどう見て、どう対策し、なぜその対応でよいと判断したのかが分かる状態にしておく必要もあるのです。
後から埋める書類にしない方がよい
実務では、試作や試験がある程度進んでから、「そろそろリスクアセスメントもまとめないといけない」となることがあります。
ただし、本来のリスクアセスメントは、構想段階、仕様検討段階、設計段階で繰り返し見直しながら進めていくものです。最終的には文書としてまとめる必要がありますが、その時点で初めて考えるものではありません。
設計の初期から整理しておけば、後工程での手戻りを減らしやすくなりますし、試験段階で想定外の問題が見つかったときも、どこに立ち返って見直すべきかが分かりやすくなります。
リスクアセスメントは完成品に後から理由を付けるための作業ではなく、設計の方向を決めるための作業でもあるのです。
実務で難しいのは「自社製品に当てはめること」
ここまで、リスクアセスメントの基本的な考え方について見てきました。
しかし実務では、その考え方を自社製品にどのように当てはめて整理するかで迷うことが少なくありません。
製品の用途や使用環境によって見るべきポイントが異なるため、個別に整理していくことが重要になります。
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次回のコラムでは、「CEマークの各指令・規則と規格の関係」を予定しております。
ぜひご覧ください。